信州野沢温泉の郷土玩具「鳩車(はとぐるま)」は、
当店においても長年販売を続けてきたロングセラー商品です。
現在では製造を継承する後継者がおらず、残念ながら生産が停止してしまいました。
かつて野沢温泉村の周辺にはアケビが多く、その蔓を利用した民具が作られていました。
鳩車ももともとはアケビの蔓でできていましたが、原材料の不足や高騰により籐の蔓で作られるようになりました。
それゆえ出来立ては白く、年月を経ると渋い飴色に変化して味わいが増します。
真っ白の在庫品よりも色の変化した展示品のほうを求めたがるお客様もいらっしゃるほどです。
商品にお付けしている由来書には伝説とも言うべき古の出来事が書かれており、
それもまたこの玩具に想いを馳せるよすがになろうかと思いますが、
鳩車がこれほどに全国で有名になったきっかけは、
昭和36(1961)年4月に長野市で開催された産業文化博覧会において、
会場を訪れた美智子妃殿下に献上された様子がテレビで放送されたことによるもののようです。
籐の蔓を使い、半日以上かけてひとつひとつ作られる可愛い鳩の玩具、
もしお手元にお持ちでしたら末長く大切に可愛がってあげてください。