当店で販売の鳩シリーズに使われる白樺の木
シラカバはシラカンバとも呼ばれる、カバノキ科カバノキ属(学名:Betula platyphylla)の落葉樹です。
信州の代表的な樹木だけあって、長野県の県木に指定されています。
温帯から亜寒帯にかけて分布し、当店の位置する小諸周辺や軽井沢などの
爽やかな高原の空気をイメージさせる美しい樹木ですね。
実際、低地よりも高原地帯の白樺のほうが白さが増すそうです。
多くの方がイメージするように白い樹皮に包まれた幹が
真っ直ぐすっと立ち上がっているのが特徴なのですが、
大樹となっても樹高は20mほどにしかなりません。
葉は秋に黄葉し、冬には落葉して越冬を迎えます。
白樺は「先駆樹種」といって、他の樹木がまだ生えていない土地にいち早く進出してくる種類のひとつです。
樹木が伐採されたり、山火事のあとの裸地は日陰もなく強い日差しに照りつけられ、
乾燥、寒さ、強風など条件が過酷な場所・・・
そんなところにも芽を出し、なおかつ栄養分が少なくても早く育つたくましさを持っています。
ところが後から入ってきた他の樹木が生長して日差しを遮ると、白樺は次第に樹勢を失って枯れてしまいます。
その寿命は数十年程度。
自然の営みの中では森林を形成する踏み台の役目を負っているのですね。
面白いことに白樺の樹皮には殺菌効果のある成分が含まれているので、
倒木したあと材は腐っても白い樹皮だけ残るとか。
当店で販売している鳩シリーズにはこの白樺が原材料として使われていますが、
県木として指定されている上、森林伐採には制限があるため
なかなか材が用意できないことがあります。
ようやく手に入った白樺の木もそのまますぐに製品になるわけではなく、
表面の白い樹皮を手で剥き、1年以上乾燥させてから
ようやくロクロで削り出しにかかるのです。
最近では太い木が手に入りにくくなっており、
それも苦労のひとつのようです。
白樺は樹皮だけでなく木肌自体も白っぽく、彩色したときに絵の具がよく発色します。
材が軽く狂いやすいため建築材には向きませんが、
それを逆手にとって加工しやすい柔らかさを利用し、
また製品になったときに軽くできることが、民芸品に使われ続けてきた理由でしょう。
鳩シリーズの商品は、フタを開け閉めしたときにカラカラと乾いた音がするのが耳に心地よいです。
余談ですが、虫歯予防で知られるキシリトールは、当初は白樺を含むカバノキから成分が発見されたそうです。
北欧などでは白樺の樹液を採取して飲む習慣があり、日本でも製品化されて販売されています。
さらにその葉や樹皮にはビタミンC、タンニン、サポニン、フラボノイドなど美肌効果のある成分を含み、
樹液も含めてその効果をうたった化粧品も見かけますね。