可愛らしいボンボン入れですね。
ボンボン入れはフランス語で「ボンボニエール」と呼ばれ、
その名の通り砂糖で作られたボンボンやドラジェなどの菓子を入れるものです。
ヨーロッパで実用的な菓子器として発展しつつ、装飾性の高いものも生み出されてきました。
それが日本に伝わって信州でも「農民美術」の工芸品として長く作られ続けています。
農民美術についてはこちらのコラムをご覧ください。
木の魅力
当店では同じデザインの鳩の砂糖壺も扱っていますが、そちらは鳩の首がすっと伸びたデザインで、
それに対してこちらのボンボン入れはずんぐりとしたユーモラスな可愛らしさのデザインです。
手で触れると木製の手触りに安らぎを感じ、フタを開け閉めしたときにカラカラと乾いた音がするのも心地よいです。
これを作っているのは県内在住の春原敏之さんで、
長いこと長野県の伝統工芸「農民美術」の木彫品制作に携わってこられました。
白樺材を使う
ボンボン入れや砂糖壺は白樺の木から作られています。
白樺は長野県の樹として伐採が制限されているため、
タイミング良く原材料が手に入ったときしか作れません。
かつては1年間作ることができないこともあったそうです。
材料が手に入ってもすぐに製品になるわけではありません。
原木には白い皮が付いていますから、それを手で剥き、1年以上自然乾燥させてから
ようやく削り出しにかかれるのです。
なぜわざわざそのような手間のかかる材を使うかというと、
それはやはり白樺が長野県を代表する美しい樹木であるというこだわりとともに、
木肌が白いため、彩色したときの発色が良いという理由があるからです。
また、木が湿気を吸収したり発散したりすることで中に入れたものの
湿度を調整してくれます。
春原さんはさまざまな木彫品を作っていますが、
いずれも実用として使えるものしか作らないそうです。
それが民芸品としての「農民美術」の原点だから とおっしゃいます。
そんな春原さんの木彫品は今や大人気で、
日本各地はおろか北欧からも注文が来るそうです。
信州の息吹を感じられる春原さんのボンボン入れ、
おひとつお手元にいかがでしょうか。
春原敏之さんについては「中川政七商店」サイトの
「誕生から60年。変わらぬデザインで愛されてきた鳩の砂糖壺」
の記事ページで詳しく紹介されています。
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