この写真は、以前コラムでご紹介したコダックカメラを使って当家の先代が撮影したものです。
中央で帽子と傘を持った人物が島崎藤村で、
大正6年の5月に北佐久教育会総会でおこなわれた講演会に招聘され、
その際かつて住んだ小諸を再訪したときの記念写真です。
撮影場所は当時小諸にあった「岡源」という料亭で、
藤村のエッセイ「千曲川のスケッチ」の「御辞儀」にも登場する、地元での名店でした。
藤村の右隣に座っているのは支援者であった神津猛氏。
佐久に在住した神津氏は豪農、銀行家、文化人といった多様な面を持ち
島崎藤村と親しく交流しながら援助を惜しみませんでした。
おそらくこのときは藤村との再会を喜び、近隣の方々も招いて共に写真におさまったのでしょう。
先代はこうして撮った乾板を自宅裏の納屋にこもって自分で現像していました。
なお当店では島崎藤村の「千曲川旅情のうた」を直筆の筆跡のままにおこし、
板額に彫り込んだ商品を販売しております。
こちらからご覧ください。